青果市場の仕入れは競売(セリ)だけじゃない|八百屋が解説する相対取引と前注文の解説

青果市場の仕入れというと、競売で値段が決まり、その場で競り落としていくイメージを持つ方が多いと思います。
確かに市場には競売があります。
ただ、実際の青果の現場では、毎日の仕入れがすべて競売で決まるわけではありません。
私は前職で東京築地市場の卸売会社に勤務し、、現在は長野の青果市場で仕入れを行っていますが、今の市場では競売だけでなく、卸売会社の担当者と話をしながら進める相対取引や、前日までに必要な数量を伝えておく前注文が、日々の仕入れで重要な役割を持っています。
特に、飲食店や施設、保育園などに納品している弊社にとっては、
「欲しい商品を必要な数だけ揃えられるか」がそのまま仕事の質に直結します。
今回は、青果市場での仕入れの中でも、実際の現場で重要になる
相対取引と前注文の考え方について、八百屋の視点で解説します。
市場仕入れは競売だけではない
市場の話になると、どうしても競売の印象が強くなります。
ですが、日々の仕入れでは、入荷量が日によって変わる競売だけで全部を揃えるのは現実的ではありません。
なぜなら、お客様からのご注文で成り立っている商売では
- 欠品できない商品がある
- 必要数量が決まっている
- 納品時間・日時が決まっている
からです。
たとえば、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、キャベツのような定番商品は、
「今日は無かった」では済まないことがあります。
そういう商品は、相場や入荷状況を見ながら、
前もって数量を押さえておく動きが必要になります。
相対取引とは?

相対取引は、簡単に言えば
卸売会社の担当者と個別にやり取りしながら仕入れる方法
です。
品目ごとに担当者がいて、
数量、品物の内容、相場感などを踏まえながら取引が進みます。
競売のように一斉に価格が決まるのではなく、
日々のやり取りの中で仕入れが動くのが特徴です。
実際の市場では、この相対取引がかなり重要です。
前注文とは?
前注文は、翌日に必要な商品や数量を前日までに伝えておき、
入荷した品物の中から確保してもらう考え方です。
これは予約に近いですが、工業製品の発注とは違って、
青果は天候や入荷量の影響を強く受けます。
そのため、
- 注文したから必ず100%揃うとは限らない
- 価格が当日まで確定しないことがある
- 入荷が少ない日は希望数量に届かないこともある
という難しさがあります。
それでも前注文が重要なのは、
欠かせない商品を押さえる確率を上げられるからです。
前注文のメリット
前注文の一番のメリットは、やはり数量確保です。
欠品できない商品については、前日にある程度押さえておくことで、朝の動きがかなり安定します。
また、朝一番から全部を探し回る必要が減るので、
市場での動き方や納品準備の段取りも組みやすくなります。
業務用の納品を抱えている八百屋にとって、この安定性は非常に大きいです。
前注文の難しいところ
一方で、前注文には注意点もあります。
一番大きいのは、価格が読みにくいことです。
青果は天候や入荷で相場が大きく動きます。
前日に見ていた相場と、当日の相場が大きく変わることも珍しくありません。
つまり、
「数量は押さえたいが、値段は読みにくい」
というのが前注文の難しさです。
さらに、品物が少ない日は、希望した量が全部揃うとは限りません。
前注文は万能ではなく、あくまで安定仕入れのための手段の一つです。
当日仕入れの強み
当日仕入れの強みは、やはり実物を見て判断できることです。
青果は同じ品目でも、
- 色
- 病害虫の有無
- 鮮度
- 傷の有無
- サイズ感
- 生産者ごとの出来
が違います。
八百屋としては、実際に品物を見てから仕入れを判断したい場面も多くあります。
特に、品質で差が出やすい商品は、現場確認の価値が高いです。
また、相場によっては当日の方が動きやすいこともあります。
商品によっては入荷が多くなる時期は、
その場で判断した方が仕入れやすいケースもあります。
仕入れで大事なのは、結局人間関係

ここは少し現場の話になりますが、青果市場で仕入れを続けていると、担当者との関係がとても重要だと感じる場面があります。
なぜなら、入荷が少ない日や相場が大きく動く日には、どの買い手にどれだけ商品を配分するかが現場で判断されることがあるからです。
私は前職で東京の築地市場の卸売会社に勤務し、野菜の担当として青果の販売に関わっていました。
そのときに感じたのは、市場では日々の信頼関係が取引に影響する場面があるということです。
もちろん、すべてが人間関係で決まるわけではありません。
仕入れ数量や取引の実績も大きな要素になります。
ただ、市場では普段の付き合いや信頼関係が仕入れのしやすさに影響することもあります。
八百屋はどう使い分けるのか
日々の業務では、仕入れを全て前注文にするわけでも、全て当日勝負にするわけでもありません。
基本は使い分けです。
たとえば、
前注文を入れやすい商品
- 欠品できない定番野菜
- 納品先で使用量が読める商品
- 毎日必要になる基本商材
当日判断しやすい商品
- 品質を見て選びたい商品
- 相場を見ながら仕入れたい商品
- 数量調整がしやすい商品
このように分けて考えると、仕入れの精度が上がります。
市場仕入れは、ただ買うだけではなく、
数量確保・品質確認・相場対応のバランスを取る仕事です。
まとめ
青果市場の仕入れは、競売だけで決まるシンプルなものではありません。
相対取引、前注文、そして当日の判断など、さまざまな方法を使い分けながら仕入れを行っています。
市場仕入れはシンプルに見えて、実際はとても奥が深い仕事です。が深い仕事です。

